大田美和歌集『飛ぶ練習』評

問いかける練習を――大田美和歌集『飛ぶ練習』評 さだまらぬ胎児の意思に揺さぶられ「わたしは」という主語がぐらつく 産むと決めて今日は言葉の市場から葬儀場まで隈なく歩く 今まで無条件に信じられてきたものに作者は疑いを向ける。かつて「母たること」は…

未来短歌会 富山 作品批評会のご案内

このたび富山におきまして、未来短歌会の作品批評会、すなわち歌会を開催することになりました。 本来は東京で行われる作品批評会ですが、新型コロナウイルス流行下にあって、首都圏への往還が困難な地方在住者のために、三密を避けた形で小規模の歌会を開催…

カン・ハンナ歌集『まだまだです』について

2020年1月11日に連続ツイートしたカン・ハンナさんの第一歌集『まだまだです』(角川書店)の感想をせっかくなので記事にまとめます。 ソウルの母に電話ではしゃぐデパ地下のつぶあんおはぎの魅力について 「つぶあんおはぎ」が絶妙。航空券は高くて買えず帰…

「原佳子第一歌集『空ふたたび』を読む会」のお知らせ

きたる12月12日(木)、名古屋栄にて「原佳子第一歌集『空ふたたび』を読む会」を開催します。平日ではありますが、もし、ご興味ある方、どうぞご参集ください。興味はあるがまだ歌集をお持ちでない方もぜひご連絡ください。著者からお送りします。 原佳子第…

現代短歌ミニシンポ in 富山「〈いま〉を吹き抜ける」のお知らせ

この度、現代短歌の最前線を走る二人の歌人、山階基さんと笠木拓さんが、第一歌集を刊行されました。それを機に、関東から山階さんをお迎えし、富山在住の笠木さんとともに、新歌集について、そして、お二人が注目する現代短歌の動向、面白さ、読みどころな…

金川宏歌集『火の麒麟』について

2018年8月13日、twitterで連続ツイートした金川宏さんの第一歌集『火の麒麟』の感想を、折角なのでブログ記事としてまとめます。ちょっとだけ加筆しました。では。 夏でお盆で暑いので金川宏歌集『火の麒麟』を読みます。 とめどなく夕べの雲はくづれをりめ…

玲瓏叢書一覧

「玲瓏」会員を収録対象とした歌集シリーズ「玲瓏叢書」、ネット上にも意外と情報がきちんとまとまってないので、まとめてみました。 第1篇 塚本邦雄『玲瓏』 1988.8.28発行 1700円第2篇 江畑實『梨の形の詩学』 1988.5.20発行 1700円第3篇 荻原裕幸『青…

写真歌集『眠れる海』 野口あや子 × 黒瀬珂瀾 トーク&サイン会

名古屋の丸善本店にて、野口あや子さんとのトークイベントを開催することになりました。他ではあまり話す機会がないような短歌の話ができればと思います。 中部圏の方も、そうでない方も、多くの方にお会いしたく思いますので、一人でも多く足をお運びいただ…

第三回文学フリマ金沢 歌会セッションのお知らせ

(事前予約のお申し込みは終了しました。当日のご見学は自由ですので、ぜひ、ふらっと遊びにお越しください)来たる2017年4月16日(日)、金沢の地で、第三回文学フリマ金沢が開催されます。いよいよ第三回!!! オリジナルの出版物を持ち寄る文学ファンの…

金沢、富山の歌会のお知らせ

これは先頭の固定記事です。最新エントリーはつぎの記事から。金沢と富山で定期的に歌会を開いています。どんな方も気楽に楽しんでいただける、ざっくばらんな歌会です。短歌が初めてという人もお気軽に遊びに来てください。金沢・鏡の会 鏡の会は歌歴も所属…

未来短歌会・「陸から海へ」欄入会のおさそい

未来短歌会・「陸から海へ」欄(選歌:黒瀬珂瀾)への参加者を大募集いたします!! 毎月、「未来」誌に短歌を10首まで投稿できます(1首でもOK)。貴方の短歌が活字になります。毎月「締め切り」があることが、短歌への気持ちを高めてくれます。 掲載された…

黒瀬珂瀾×服部真里子×山粼修平 「あなたの考えるギリギリの現代短歌」 『Wintermarkt』刊行記念

東京でのトークイベントのご紹介です。「黒瀬珂瀾×服部真里子×山粼修平 「あなたの考えるギリギリの現代短歌」 『Wintermarkt』刊行記念」 http://bookandbeer.com/event/20161119_wintermarkt/日時 2016年11月19日、午後6時半開場、午後7時開始、午後9時終…

西橋美保第二歌集『うはの空』を読む。

西橋美保歌集『うはの空』(六花書林)に大変感銘を受けたのでちょっと皆さんにご紹介したい。例えばこんな歌 眠るとき死んだふりするのはなぜと子は問ふわれに抱きつきながら 「蛍夜」子供との添い寝の景だろうか。「抱きつきながら」がいい。穏やかに見え…

第二回文学フリマ金沢 歌会ワークショップのご案内

(当初の予定人数に達しましたので、お申し込みは受け付けますが、ご希望に添いかねる場合もございます。ご了承ください)いよいよ来たる2016年6月12日(日)、金沢の地で、第二回文学フリマ金沢が開催されます。いよいよ第二回!!! オリジナルの出版物を…

歌集『蓮喰ひ人の日記』のご紹介

歌集『蓮喰ひ人の日記』(短歌研究社)、ただいま発売中です。月刊「短歌研究」にて13か月にわたり連載した歌日記の単行本化です。多くの方にお読みいただければ幸いです。水戸部功さんによる造本・デザインですので、ぜひ手に取ってご覧ください。 AMAZONに…

関西・秋の作品批評会

未来短歌会の関西・秋の作品批評会をご案内いたします。ようするに短歌を相互批評する歌会です。未来会員以外の方、歓迎いたします。東京から大島史洋さんもお越しになるので、お気楽に遊びに来てください。○日時:11月29日(日)13時半〜17時(受付1…

「現代短歌新聞」2015年10月号

「現代短歌新聞」2015年10月号に佐波洋子歌集『鳥の風景』(現代短歌社・第一歌集文庫)書評文「われの埋立地へ」を書きました。 一対の女男(めお)にて睡る闇あるにねむりの水際互みに視ざり まだわれを庇う力ある父の腕いちじくの枝運び去りたり 丘陵をもた…

「阪大短歌」4号のお知らせ

大阪大学短歌会の機関誌「阪大短歌」第4号が刊行されました。清新な作品がたくさん並んでいます。 http://handaitanka.web.fc2.com/ 絵はがきは季節の鱗 群青の鱗いちまい部屋に舞いこむ 池松果実 吸いさしを風葬にして青年が街にくゆらすピースのけむり 鈴…

服部真里子第一歌集『行け広野へと』批評会のご案内

このたび、我々の歌友である服部真里子のさん第一歌集『行け広野へと』(本阿弥書店刊)の批評会を開催いたします。みなさまのご参加をお待ちしております(未来短歌会有志)。会の前半は壇上のパネリストによる歌集『行け広野へと』に関するさまざまな考察…

「弦」32号(2015年夏)、インタビュー掲載

弦短歌会発行の歌誌「弦」の32号(2015年夏)が刊行されました。 http://blog.goo.ne.jp/gen_tankakai/e/03d011ef5fae40f7017d91b91e80487d弦インタビュー「黒瀬珂瀾 未来につながる歌を紡ぐ」が掲載されています。南砺市の安居寺と富田家住宅での写真撮影、…

春野りりん歌集『ここからが空』刊行のお知らせ

「短歌人」所属の春野りりんさんの第一歌集『ここからが空』(本阿弥書店)が刊行されました。黒瀬は栞文「行き交う時間の歌」を寄稿しています。林望さん、三井ゆきさんとご一緒しています。 ガウディの仰ぎし空よ骨盤に背骨つみあげわれをこしらふ ムスカ…

角川「短歌」2015年8月号

角川「短歌」2015年8月号が発売されました。特集は「没後五年 河野裕子の魅力 全歌集解説」。まさに保存版大特集です。黒瀬は第八歌集『家』についての解説文「暗がりの〈家〉の命」を寄稿しました。お読みいただければ幸いです。本号はさらに特別企画「戦…

「現代短歌」2015年8月号

現在発売中の「現代短歌」2015年8月号(現代短歌社)の連載企画「九州の歌人たち」の第24回「森園天涙」を担当しました。森園天涙30首選と略歴、そして天涙の次男である森園俊氏へのインタビューが掲載されています。大変でしたが面白く、有益な記事になっ…

「北大短歌」第三号

北海道大学短歌会発行の機関誌「北大短歌」第三号に、第二号掲載歌の歌評「「北大短歌」第二号評」を寄稿しました。お招きいただき、北大短歌の皆様にはお礼を申し上げます。第三号は特集「短歌と性愛」。ほくたんメンバーの座談会や、短歌と性愛表現につい…

「八雁」2015年7月号

「八雁(やかり)」(編集発行・阿木津英)2015年7月号に、佐竹游歌集『草笛』の書評「命と命の関係」を寄稿しました。僕の他には島田幸典さんと女性学研究者の金井淑子さんが寄稿しています。 円錐花序つけたる葡萄見上ぐればはらわたの底あかるむごとし …

現代短歌文庫123『有沢螢歌集』(砂子屋書房)

砂子屋書房さんから、現代短歌文庫123『有沢螢歌集』が刊行されました。第三歌集『ありすの杜で』が完本収録、第一歌集『致死量の芥子』、第二歌集『朱を奪ふ』が抄録されています。その他にエッセイ、歌論など。黒瀬による文章「変化者としての巡礼」(『朱…

「うた新聞」2015年7月号

「うた新聞」2015年7月号(いりの舎)に、短歌「犬儒派」5首を寄稿しました。お読みいただければ幸いです。巻頭評論は広阪早苗さんの「世代をつなぐ読みの交流を」。小池光・服部真里子を発端とした「水仙と盗聴」論争? がここでも触れられています。どう…

「現代短歌」7月号 特集「秘蔵の写真1」

現在発売中の「現代短歌」7月号に、短歌「瓦礫と写真」7首を寄稿しました。お隣ページは小島なおさんです。本号は、いろんな歌人にまつわる秘蔵の写真が一挙公開されていて、とても面白いです。ご購読をお勧めします。 http://gendaitankasha.com/magazine…

第2回福岡合同歌会のお知らせ

福岡で活動している福岡歌会(仮)と「未来」福岡歌会とここのつ歌会の合同歌会を開催します。 福岡近郊の短歌好きの方、ぜひ遊びに来てください!日時:2015年8月2日(日)、午後1時〜5時 会場:あいれふ(福岡市健康づくりサポートセンター)研修室A …

美学文芸誌『エステティーク』vol.2

美学文芸誌『エステティーク』vol.2(日本美学研究所)が発売されています。特集は「狂」。――美とは何か。永遠不変のテーマを問い続ける文芸誌。「美の標本箱」をコンセプトに、美を多角的に捕え、解剖し、その本質に迫ります。 第2号の特集は「狂」。各分…