金沢、富山の歌会のお知らせ

これは先頭の固定記事です。最新エントリーはつぎの記事から。

金沢と富山で定期的に歌会を開いています。どんな方も気楽に楽しんでいただける、ざっくばらんな歌会です。短歌が初めてという人もお気軽に遊びに来てください。お問い合わせはこのメールフォームからどうぞ!

金沢・鏡の会
鏡の会は歌歴も所属も一切問わない歌会です。結社などに所属していなくても、今日初めて短歌を詠んだ方でも大歓迎です。鏡の会が初めての歌会という方もいらっしゃるのでご安心ください。
場所は金沢市街や金沢駅周辺になります。参加人数によって勤労者プラザかITビジネスプラザ武蔵の会議室、教育会館の休養室などで開催します。
開催は主に平日の夜、毎月第四月曜日か金曜日など。定員に余裕がある場合はTwitterでも案内をしております。また稀に突発歌会などを週末に開催します。

歌会内容は以下のTwitterアカウントでもご覧いただけます。お問い合わせはこのアカウントへのレスやDMなどででも大丈夫です。
https://twitter.com/kagaminokai
歌会の雰囲気や詳細などは以下のモーメントもご覧ください。
https://twitter.com/i/moments/951317548221415429

富山・海市歌会
富山での歌会です。未来短歌会・エペの会合同の超結社歌会ですが、歌歴も所属も一切問わない歌会です。結社などに所属していなくても、初めて短歌を詠んだという方もよくいらっしゃいます。開催は富山県民会館の会議室で基本的に第二水曜か木曜の夜となります。みなさまのご参加をお待ちしております!

玲瓏叢書一覧

「玲瓏」会員を収録対象とした歌集シリーズ「玲瓏叢書」、ネット上にも意外と情報がきちんとまとまってないので、まとめてみました。

 

第1篇 塚本邦雄『玲瓏』 1988.8.28発行 1700円
第2篇 江畑實『梨の形の詩学』 1988.5.20発行 1700円
第3篇 荻原裕幸『青年霊歌 ーアドレッセンス・スピリッツー』 1988.5.20発行 1700円
第4篇 和田大象『禊ぞ夏の』 1989.2.20発行 1700円
第5篇 小角隆男『櫂歌』 1989.2.20発行 1700円
第6篇 塘健『出藍』 1989.6.26発行 1700円
第7篇 岩田憲生『虹盗賊』 1990.11.15発行 2000円
第8篇 笹原玉子『南風紀行』
第9篇 照屋真理子『夢の岸』 1991.10.15発行 2300円

第10篇 岩田眞光『百合懐胎』
第11篇 林和清『ゆるがるれ』 1991.12.15発行 2300円
第12篇 阪森郁代『靡けたてがみ』 1992.10.15発行 2300円
第13篇 尾崎まゆみ『微熱海域』 1993.2.15発行 2300円
第14篇 西田政史『ストロベリー・カレンダー』 1993.6.25発行 2300円
第15篇 秋谷まゆみ『薔薇殺法』 1993.10.15発行 2700円
第16篇 須川よう子『酢薑』
第17篇 山城一成『葉隠様式』 1995.11.11発行 2700円

第18篇 安森敏隆『わが大和、わがシオン』 1996.11.23発行 2700円
第19篇 瀬戸克浩『アトランティス』 1997.8.4発行 2700円
第20篇 田中浩一『原罪進行形』 1997.11.11発行 2700円
第21篇 宮尾壽子『未央宮』 2000.4.30発行 2700円
第22篇 築林歌子『戀文』 2001.11.11発行 2700円
第23篇 室谷とよこ『ゆめわすれざる』 2002.9.9発行 2700円

 

第1篇から第15篇までが「書肆季節社」刊。第16篇から第23篇の8冊が「玲瓏館」刊です。この叢書の売りは、塚本邦雄が解説を執筆するという点でした。従って、塚本邦雄の体調悪化に伴い、本叢書は自然と停止してしまったようです。

手持ちの範囲で発行日と価格を追記しました。後記などを見ても、どうやら塚本さんの『玲瓏』より江畑さん、荻原さんの歌集が先に出たみたいですね。第15篇までは印刷所・精興社、製本所・三水舎のようです。発行所が玲瓏館に変わってからは印刷所・東洋紙業高速印刷株式会社になっています。

写真歌集『眠れる海』 野口あや子 × 黒瀬珂瀾 トーク&サイン会

名古屋の丸善本店にて、野口あや子さんとのトークイベントを開催することになりました。他ではあまり話す機会がないような短歌の話ができればと思います。
中部圏の方も、そうでない方も、多くの方にお会いしたく思いますので、一人でも多く足をお運びいただけると嬉しいです。

 会場は小さめで席に限りがありますので、できるだけお早めにご予約いただけると助かります。
また、ご友人、ご知友にもぜひ、広くお伝えいただければ幸甚に存じます。
 http://kankanbou.hatenablog.com/entry/2017/10/20/171022

第119回 丸善ゼミナール 写真歌集『眠れる海』 野口あや子 × 黒瀬珂瀾 トーク&サイン会
『眠れる海』の背景には、短歌朗読を入り口として様々なジャンルとの交流があった。
多くの現場で多くの「きみ」とすれちがい、ときにひどく惑ったりうなだれながらも「きみ」の前で歌いつづけることはもう一度「わたくし」を取り戻す療法でもあったように思う。
場所が変われば仕草が変わる。
仕草が変われば言葉が変わる。
身体や言葉が変わる中で変わっていく「きみ」と「わたくし」はもっとはるかなのかもしれない。

日時 2017年12月1日(金)19時より

場所 【丸善 名古屋本店】 1F特設会場にて
     愛知県名古屋市中区栄三丁目8番14号
       地下鉄名城線/東山線 栄駅より徒歩5分
       クリスタル広場を右手へ抜けてサカエチカ8番出口昇り左手へ。
       SONYビル前を過ぎると右手にございます。

参加費:500円

参加希望者は店頭もしくは電話(tel.052-238-0320)にて事前にお申込みください。

野口あや子(のぐち・あやこ)
1987年岐阜生まれ、名古屋在住。高校在学中に第49回短歌研究新人賞を受賞。第一歌集『くびすじの欠片』で、第54回現代歌人協会賞を最年少受賞。ほか歌集に『夏にふれる』『かなしき玩具譚』。
近年は共同制作や朗読活動も行っており、詩人・三角みづ紀との共著に『気管支たちとはじめての手紙』(マイナビ・電子書籍)、写真×衣装×短歌のコラボレーション歌集として『眠れる海』を刊行。

第三回文学フリマ金沢 歌会セッションのお知らせ

(事前予約のお申し込みは終了しました。当日のご見学は自由ですので、ぜひ、ふらっと遊びにお越しください)

来たる2017年4月16日(日)、金沢の地で、第三回文学フリマ金沢が開催されます。いよいよ第三回!!!
オリジナルの出版物を持ち寄る文学ファンの一大イベントです。

場所は「ITビジネスプラザ武蔵」の5・6F(めいてつエムザの裏。地図はこちらをクリック)
イベント全体の開催時間は11:00〜16:00です。詳細は http://bunfree.net/?kanazawa_bun03 をご参照ください。

そして当日、昨年に引き続き「歌会セッション」が開催されます!! ゲストはなんと、現代短歌の若手を代表する歌人・服部真里子! 是非気軽に遊びに来てください。


金沢在住の歌人黒瀬珂瀾およびゲストの服部真里子全面協力の短歌のワークショップです。短歌の「歌会」ってどうやるの? どんなふうに短歌を読めばいいの? どうすれば短歌が面白くなるの? あなたの「短歌」をみんなに読んでもらいましょう。そして、みんなの「短歌」を語り合うための、言葉を探してみましょう。
詳細→ http://bunfree-kanazawa.hatenablog.com/entry/2017/04/04/140829

【場所】 ITビジネスプラザ武蔵5階 研修室1
【時間】 2017年4月16日 14:30-15:30
【題詠】 「里」もしくは自由題
【参加方法】 (事前予約のお申し込みは終了しました)
       お席の数が限られるため、定員制先着順となります。見学については当日ご自由にどうぞ。
 
参加希望者は「題詠作品(「里」の字を使った短歌)」もしくは「自由題作品(自由に作った短歌)」のどちらか一首を事前にご提出ください。特に上手に作る必要はありません。提出はしないという方でもご参加いただけます。

上記のフォームに「お名前」「メールアドレス」をご明記の上、お申し込みください。途中からの出席、途中での退席も問題ありません。店番などがあるという方でも、10分、15分だけの参加も可能ですので、ご遠慮なくお問い合わせください。前もっておわかりの方はお申し込み時にお書き添えください。

このワークショップは公開イベントです。当日は見物・見学者を歓迎します。申し込み人数によっては、当日の飛び入り参加も考慮いたします。飲物等は、希望者は各自ご持参ください。

ご質問等ある方は、上記のフォームよりお問い合わせを。またはTwitter(https://twitter.com/karan_mirai)上にて気軽にお話しかけください。


その他にも当日は石川近代文学館の学芸員宮本知穂さんによるトークセッション「金沢を描いた作家とその背景」、小矢部市のメイド喫茶「喫茶メルト」さんの出張出店、さらには即売会終了後のお疲れさま会もあります! 楽しい一日をお過ごしください。

金沢、富山の歌会のお知らせ

これは先頭の固定記事です。最新エントリーはつぎの記事から。

金沢と富山で定期的に歌会を開いています。どんな方も気楽に楽しんでいただける、ざっくばらんな歌会です。短歌が初めてという人もお気軽に遊びに来てください。お問い合わせはこのメールフォームからどうぞ!

金沢・鏡の会
鏡の会は歌歴も所属も一切問わない歌会です。結社などに所属していなくても、今日初めて短歌を詠んだ方でも大歓迎です。鏡の会が初めての歌会という方もいらっしゃるのでご安心ください。
場所は金沢市街や金沢駅周辺になります。参加人数によって勤労者プラザかITビジネスプラザ武蔵の会議室、教育会館の休養室などで開催します。
開催は主に平日の夜、毎月第四月曜日か金曜日など。定員に余裕がある場合はTwitterでも案内をしております。また稀に突発歌会などを週末に開催します。

歌会内容は以下のTwitterアカウントでもご覧いただけます。お問い合わせはこのアカウントへのレスやDMなどででも大丈夫です。
https://twitter.com/kagaminokai
歌会の雰囲気や詳細などは以下のモーメントもご覧ください。
https://twitter.com/i/moments/951317548221415429

富山・海市歌会
富山での歌会です。未来短歌会・エペの会合同の超結社歌会ですが、歌歴も所属も一切問わない歌会です。結社などに所属していなくても、初めて短歌を詠んだという方もよくいらっしゃいます。開催は富山県民会館の会議室で基本的に第二水曜か木曜の夜となります。みなさまのご参加をお待ちしております!

未来短歌会・「陸から海へ」欄入会のおさそい

未来短歌会・「陸から海へ」欄(選歌:黒瀬珂瀾)への参加者を大募集いたします!!

  • 毎月、「未来」誌に短歌を10首まで投稿できます(1首でもOK)。貴方の短歌が活字になります。毎月「締め切り」があることが、短歌への気持ちを高めてくれます。
  • 掲載された貴方の短歌に対して、選者の黒瀬や他の評者から、批評やアドヴァイスが加えられます。
  • 各地で開催される「陸から海へ」欄メンバーの歌会や勉強会、未来短歌会関係のイベント、批評会などに優先的に出席できます。歌会は東京、関西、名古屋、福岡、富山、金沢などで開催されています。
  • メンバーによるメーリングリストに参加できます。短歌関係のイベントや出版新刊情報などの様々な情報を得たり、選者やメンバー間での会話や質疑応答が出来ます。

選歌は黒瀬珂瀾が担当いたします。関心のある方は、以下をご参照ください。

  • 角川「短歌」2015年12月号「鼎談 不合理を楽しむ」 → アマゾン
  • 「弦」32号(弦短歌会) 「弦インタビュー:黒瀬珂瀾 未来につながる歌を紡ぐ」 → ご注文はこちら


ぜひ貴方も、短歌をともに楽しむ仲間になりましょう!
ご質問などがある場合は、上記ツイッターにレスいただくか、以下のフォームからお問い合わせください。どんな些細なことでもお気軽に!!
http://www.kurosekaran.com/mail/postmail.html


未来短歌会とは?
「未来」は1951年に近藤芳美を中心にして創刊された戦後型の短歌雑誌です。現在は岡井隆が発行人をつとめています。詳しくはホームページをご覧ください。
 http://www.miraitankakai.com/

また、分かりやすい「Q&A」のコーナーもございます。一度お目通し下さい。
  http://www.miraitankakai.com/q&a.html
 
見本誌は無料です
見本誌を無料で進呈いたします。以下のフォームに、お名前、ご住所(送付先)、メールアドレス、見本誌希望の旨を記入して送信してください。お手元に「未来」誌をお届けします。
http://www.kurosekaran.com/mail/postmail.html

入会方法
郵便局で「郵便振替用紙」に

  1. 郵便番号、住所
  2. 電話・FAX番号
  3. 本名(ふりがな) ペンネームを使う方は筆名(ふりがな)を併記
  4. 「新入会」の旨(再入会の場合は「再入会」とお書きください)
  5. 学生(25歳以下)である場合はその旨を。会費が半額になります。

を記入の上、会費半年分(1万円 学生は5千円)を下記の「郵便振替口座」までお納めください。もちろん一年分、数年分でもかまいません。

 郵便振替口座 00100-7-180560 未来短歌会

これで入会手続き完了です。入金が確認された月の月末か翌月頭に、最新号の「未来」が届くと思います。

投稿のしかた
投稿には200字詰めB5判原稿用紙をご使用ください。締め切りは毎月15日で、掲載はその3ヶ月後の号です。詳しくは「未来」誌に掲載されている「送稿規定」ご覧ください。以下の「Q&A」コーナーに歌稿記入例があります(http://www.miraitankakai.com/sampleGenko2.pdf)。

投稿に関してご質問、ご相談などある場合は、以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。
 http://www.kurosekaran.com/mail/postmail.html

黒瀬珂瀾×服部真里子×山粼修平 「あなたの考えるギリギリの現代短歌」 『Wintermarkt』刊行記念

東京でのトークイベントのご紹介です。

「黒瀬珂瀾×服部真里子×山粼修平 「あなたの考えるギリギリの現代短歌」 『Wintermarkt』刊行記念」
 http://bookandbeer.com/event/20161119_wintermarkt/

日時 2016年11月19日、午後6時半開場、午後7時開始、午後9時終了予定
場所 下北沢 本屋B&B
    世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
    http://bookandbeer.com/map/
入場料 1500円 +1drink order

短歌誌『Wintermarkt』発行を記念したトークイベントを開催します。

歌人18名に「あなたの考えるギリギリの現代短歌を読ませてください」という執筆依頼をして集まった原稿は、新鮮かつ刺激的。
このたび、本書の刊行を記念してのトークイベントを開催します!
短歌の最前線を突き進む二人の歌人、黒瀬珂瀾さん 服部真里子さんをお招きし、発行人の山粼修平さんが聞き手となって、表現の最前線としての「ギリギリの現代短歌」についてたっぷりと語っていただきます。

あんまり、東京の皆さんの前で長く話す機会もないので、ぜひ遊びに来て下さるとうれしいです。
当日直接お越しになっても大丈夫かと思いますが、こちらからご予約いただけると席が確保できます。
 http://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01hjifyew6v6.html

短歌誌『Wintermarkt』には伊舎堂仁、伊波真人、黒瀬珂瀾、嶋稟太郎、滝本賢太郎、田中槐、田丸まひる、遠野真、中島裕介、西巻真、服部真里子、濱松哲朗、二三川練、堀静香、主水透、吉田恭大、龍翔、以上の18名がそれぞれの思う「ぎりぎりの現代短歌」を寄稿しました。開場で先行販売がありますので、ぜひご覧になっていただけると嬉しいです。デザイン的にもシャープで、一家に一冊おいておきたいアイテムです。

大勢の方にお会いしたいので、よろしくお願いします。

西橋美保第二歌集『うはの空』を読む。

西橋美保歌集『うはの空』(六花書林)に大変感銘を受けたのでちょっと皆さんにご紹介したい。

例えばこんな歌

 眠るとき死んだふりするのはなぜと子は問ふわれに抱きつきながら 「蛍夜」

子供との添い寝の景だろうか。「抱きつきながら」がいい。穏やかに見えて何か不穏な感情が滲み出ている。

 出陣の化粧の紅に泣きてより千年たてど口紅が嫌ひ 「蛍夜」

千年前の出陣だから「前九年の役」のあたりだろうか。まあ、大まかに公達の出陣と考えればいいか。口紅、の持つ意味合いの変容を通して、現代のジェンダーにも疑いの目を投げかけている。

 殴らんと構へしひとに手向かひてつかみしスリッパふにやふにやなりき
 放ちたる殺気はさすが元兵士ちちなるひとは殴らんとして
 殴られても殴られても従はぬ女が憎いか春ちかき夜の

「橄欖追放」で東郷雄二さんが指摘しているが、舅からの暴力、が一つのテーマになっている。「スリッパ」の歌などからは、暴力に対峙する中で、自己が保つべき姿を護ろうとする心が見えてくる。そして、舅の描写も、相手を見返し、睨む視線を強く持ったものとなる。

 国民の公僕と父の言ひしとき声にかすかな陶酔のあり 「音読」

作者は「男性」を見つめ、その姿を描くことで、現実の苦を抉り出す。暴力も、この父の「陶酔」も、同じ根源を持つのだろう。作者の視線によってさらけ出される世界の暴力性に慄然とする。

 羽化しない蝶の蛹を埋めに行く火星の運河はたぶん遠い 「木琴」

身めぐりの理不尽さをどうすればいいのか。個人的にこの一首に心を打たれた。小さな死を手に携えつつ、それが安らぐであろうと願う場所ははるかに遠い。結句一音欠落が、喪失の永遠性を強調する。

 ひやくにんの男に踏まれうめくごと軋めばをんなは他界への橋 「葛藤」

ストレートであり、苦しい。あまたの男は「をんな」を踏むが、それは男が「他界」へと渡るためだというのだ。「他界」は死後の世界ともとれるし、また、男が求める栄達の世界かもしれない。

 ゆふぐれに死者戻ることを叔母はいふ死者は呼び鈴鳴らさずに来る 「神隠し」
 地より出(い)でていんいんと蟬の鳴くごとく死者甦るはおそろしからむ
 百物語に百のかなしみともしびが消えるやうにはひとは死ねない 「小鳥」

この作者は、生死の境というものをかなり峻厳なものとして認識しているように思う。この感覚は不思議だ。しかし三首目、昨今、人は簡単には死ねない。百物語それぞれの怪談には、それぞれの恐怖、恨み、憎しみが宿っている。蝋燭はすぐに消えるが、その悲しみは消えない。人が死ねないのと同じように。

 すこしづつ自分を切り売りすることを労働と呼び買ひ戻せない 「木陰」

まさに。

 日ごろは何とも思はぬ時計が重いぞと麦の熟れゆく季節に思ふ 「木陰」

『平家物語』の「木曾の最期」、義仲の一言「日ごろは何とも覚えぬ鎧が、今日は重うなつたるぞや」を踏まえた。季節が実りの時へとうつろう中に、己の生はいかにあるのか。

 ここでかの「バールのやうなもの」ひとつさし出す淑女の嗜(たしな)みとして 「水難」

うまく説明できないが、言葉を武器として己という存在の意味を取り戻す心があるように思う。

 代理ミュンヒハウゼン症候群にあらざれど風摘むごとく薔薇摘むゆふべ 「青桜」

代理ミュンヒハウゼン症候群とは、周囲の関心を引き寄せるため子供や近親者のケガや病気を捏造したり、虐待を働いてしまう症例、という。それを薔薇の剪定になぞらえているのだが、裏には作者自身の苦しい記憶の存在をも感じさせる。

 両脚の切断をするその前に死ねてよかつたねえねえと泣く 「神の死」

「ねえねえ」の怖さ。

 ぢつと手を見しとふ啄木その爪のぞんぐわい綺麗でありしか啄木 「手袋」

最近、「啄木クズ伝説」的な言説をよく見かけるが、この歌は「ぞんぐわい」がよく効いている。前歌もそうだが、怖い歌だ。

 わたくしを殴りしその手の持ち主は死にたりその手を焼くまへに拭く 「鬼の道」

暴力をふるった舅が死ぬ。その「わたくしを殴」った手を納棺の前に拭く。加害者が死んだからそれで話は終わり、ではない。これで終わらせたりは決してしないぞ、という心が浮かぶ。

 幅ひろき昭和のネクタイ足首にまつはりまつはり行く手をはばむ 「トーク」

連作からは、暴力をふるった舅の遺品整理の場面と読めるが、もっと普遍的な歌としてもよめるだろう。

 死んだ死んだおまへはしんだと言ひ聞かすお経読みつぎ生者の驕り 「青空をきみは」
 もう誰かわからぬ家霊のをんなたち円座しわれの着替へを見てゐる
 いつかまた手の鳴る方へ迷ひゆきそのまま家霊に連なるわれか

この一連「青空をきみは」の凄み。「家」という苦を描いている。

 憎まれてわたしは遺影のこちら側まづは麦茶を立ちしまま飲む 「キウベヱ」
 クロアゲハ横切る木の下闇の道 許せなくてもよいのだ、きつと
 磯野家の海平波平その母になりたや夏には西瓜たべさせ 「サザエさんの夏」
 依り代になりさうなものみな捨てませう遺品整理は引つ越しではない 「金剛力」
 藤の実は地表をめざすめざせども死者の怒号のどこまでも雨
 鳴き龍とよばれて幾度も鳴かされる龍をば見たり遠く旅して 「日光」
 夢前の岸辺は今宵凍るべしはだらはだらと雪の降るゆゑ 「夢前の鹿」

その他、心に残った歌を。夢前川は作者の棲む地、兵庫県姫路市を流れる川。

大変優れた一冊です。購読希望者はたぶん、アマゾン(https://www.amazon.co.jp/dp/4907891296)でも新品が補充されると思うのだが、版元の六花書林(http://rikkasyorin.com/syuppan.html)さんにメールなり電話一本入れるなりした方が早い。