「八雁」2015年7月号
「八雁(やかり)」(編集発行・阿木津英)2015年7月号に、佐竹游歌集『草笛』の書評「命と命の関係」を寄稿しました。僕の他には島田幸典さんと女性学研究者の金井淑子さんが寄稿しています。
円錐花序つけたる葡萄見上ぐればはらわたの底あかるむごとし
食卓に皿ならべゆく朝の日をひとりびとりに頒たむがため
どこまでも砂浜なればくちづけをかはせずふたり海を見つめる
幹に枝喰ひ入るごとく抱きあひ〈それより先〉をせずして別る
皮膚に皮膚重ぬるときにつぶれたる空気小さき声をあげたり
嫌悪感あらはにからだ捩(よ)ぢりたり受胎告知をなされてマリア
レズビアンは迫害の歴史さへ持たず否持たされず歴史より消ゆ
午後三時猫のあくびをする君に猫の気分で肛門を舐む
死へ死へと駆け出しさうになるわれをリノリウムの床に捩ぢ伏せてゐる
われには君 君にはわれの配されて互みに神の手駒なるらむ 佐竹游『草笛』(現代短歌社)より
上記のような歌について書きました。『草笛』はとても優れた歌集ですので、機会があればぜひお読みいただきたく思います。
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